Zillow

Zillow(ティッカー: Z)はアメリカの大手不動産売買プラットフォーマーであり、不動産テックに注力し、キャシーウッド率いる、破壊的イノベーションをもたらす企業を集めたETFであるARKKに組み入れられていた。いまARKKの保有銘柄をちらと見たが、入ってなかった。どこかで売ったのだろう。

去年の暮れには、ARKKの株価がどこまで上がるの?ってくらい上がっていた。その強さの理由を知りたくて同社のことを調べていたら、言葉巧みな資料を閲するうちにこれはすごいETFだなあと感銘し、その組入銘柄をいくつか自分のPFに組み込もうとしていた。その中でもZはいい感じに見えた。そのとき、買っていたら今50%の下落に見舞われていたことになる。まあ途中で損切りしていたんだろうけど、今年はひどい下がり方でしたね。

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株価の下落は、主にZillow Offerなる、ホームフリッピング事業への進出の失敗だったとこの記事にある。ホームフリッピングというのは、中古住宅を安く買い、短期間で表面をリノベして高値で売り抜くというスキーム。住宅を安く買うためには多くのデータを検討したり価格の予測をしなければならないんだが、Zillowには高度な不動産売買アルゴリズムがあるそうで、そいつを駆使していい物件を迅速に安く買うことができていた。

ただし、コロナ以前のデータによって構築されていたそのアルゴリズムはコロナによる社会的変化や価値観やライフスタイルの質的変化のなかで有用とはいえなかった。にもかかわらず、経営陣はそのもはや通用しなくなったアルゴリズムを使い続け、高値で住宅を買いまくり、在庫が積み上がってしまった。その事業は投資会社かどこかに売却し、大きな損失を計上するに至った。

この記事では、ここから得られる教訓として、経営陣がそのような本質的に重要な経営課題を解決するために、現場の声をフラットに聴ける体制がなければ厳しいんじゃないということ、そして適切なKPIを設定する(本質的には重要じゃない数値目標ばかり見ていた)ことの重要さを指摘している。

まあ、買わなくてよかったなあという感想なんだけど、ROKUやZOOMとかも一貫して下がってて、2020年に大きく上昇したという理由によって2021年は大きく下落したという物理的現象だったりするのかもしれない。

アメリカ株はどうしても海の向こうで起こっているビジネスなわけで、あまり株価を気にはしない。あるときふと株価を見ると喫驚するほど上がっていたり、下がっていたりする。もちろんそれはふだんあまり株価を見ていないからにほかならないのだが。

去年の12月に、Zillowいいよね、とぼんやり考えていたのは見当外れだったが、その時の自分にはそれはわかるはずもない。いいよね、と思いながら株を買おうかしらという瞬間というのは胸高鳴ることなのだが、そういうのはいつもただの希望であったりする。

株をやっていて、痛感するのは、確実にこうなると思うことはめったにおこらず、まさかこんなことはあるまいと思うことがよく起こるということ。その予測不可能性の中で、せいぜい大損しないように、生き馬の目を抜くマーケットで生き抜くことができれば。